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【コラム】ルネッサンスの3大発明
中間 真一

 ルネッサンスの3大発明?子どもの頃に社会のテスト勉強で暗記した覚えのある方も多いだろう。「活版印刷」、「羅針盤」、「火薬」の3つだ。先日、雑誌を読んでいて久しぶりにこの話しに出会い、セカンド・ルネッサンスとしての現代に重ねて少し考えることがあった。

 この3大発明、現代の高度情報社会に置き換えるとどういうことだろう?活版印刷は、もはや印刷を超えてウェブ2.0といったところだろうか。羅針盤はナビゲーションシステムなどITS。火薬の進化形は情報社会の何だろう?一つひとつの技術進化の歴史をたどって現代そして近未来を考える価値も大きい。しかし、私はこれらの技術3点セットの意味を考えてみようと思ったのだった。そうは言うものの、少しだけそれぞれの技術の入口をのぞいてみる。

 グーテンベルクが活版印刷技術を開発するまでは、写本による書物は、膨大な時間と手間がかけられた高価な代物だったはずだ。しかし、今や誰もがインターネット上に「知」をスルスルとアップロードして世界に流し、世界からサクサク必要な「知」を入手できる。「知のやりとりコスト」が下がり、知のユニバーサル化が進んだわけだ。それが、ルネッサンス時代の豊穣な人文主義や自然科学の発展、そして宗教改革を可能にしたというわけだろう。

 2番目の羅針盤、羅針盤の開発により航海技術が発達し、大航海時代の幕明けとなった。向かうべき針路が明らかになって「移動(モビリティ)のリスク」が下がったわけだ。そして3番目の火薬は、強い軍事力による「力のアドバンテージ」を上げ、ヨーロッパが覇権を握る時代を迎えたというわけだ。

 すなわち、ルネッサンスの3大発明とは、
①知のやりとりの技(コミュニケーション)
②針路を決める技(デシジョン・メイキング)
③知を力として活かす技(コア・コンピテンシー)
 これら3つの技だと言ってみてはどうだろう。少し強引かもしれないが、これこそ見通しの利かない時代の中から、知を力として未来への前進に向かうための3つの技と言えないだろうか。そして、これは社会の技としてみるだけでなく、個人の生き方、人間の成長プロセスにおいても大切な3つの技と言える。工業社会からのパラダイム・シフトを、もはや誰もが疑わないほどに、日常生活の場にカオス(混沌とした状態)が生じ始めている。今こそ、セカンド・ルネッサンスの3大発明と言えるような生き方を目指す時だ。

 しかし、セカンド・ルネッサンスの3大発明は、出来合いの技術に頼り過ぎてはいけないような気がする。「やりとりから学び」、「問題の発見と解決から針路を見いだし」、「ばく進力をもって進む」、これらの技は、万人にとっての唯一の技として存在するものではない。生きている人の数だけ存在するはずであり、日々改善されて進化する技でもある。この生きるための技のトライアングルを、グングン改善力で駆動する生き方、今、学びの場に必要とされているのは、こういうヒューマン・ルネッサンスの技の獲得ではないだろうか。


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