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てら子屋コラム

【コラム】本質を学び、社会が変わる行動へ
田口智博

 個人の寄附金額について国際比較をみてみると、日本とアメリカではその総額に約100倍の開きがあるという。ちなみに、アメリカは2007年の寄附金総額が21兆円にも上り、日本のそれを大きく上回ることは言わずもがなである。ただ人口規模による関係もあるため、実際の一人当たりの平均寄附金額へと換算をすると、日本が1,828円(2008年)に対して、アメリカは66,955円(2007年)だそうだ。
 こうして現実的な数字で示されると、寄附ということに関して、個々の立場から考えることができる。「日本人だけど、もっと多く寄附をしている」と思う人もいるであろう。しかし、周囲を見渡してみても、寄附ということが必ずしも日常的な行為として定着していると実感する機会はそう多くはない。

 そうした日本ではあるが、昨年末から“タイガーマスク運動”として盛んに取り上げられているニュースが目を引く。漫画「タイガーマスク」の主人公などを名乗る匿名の寄附によって、児童福祉施設へランドセルなどの品物が贈られるという出来事が全国的に相次いでいるからだ。
 昨年12月、来春小学1年生になる子どもを持つ母親への意識調査の結果について、小学館がレポートを発表している。それによると、「入学に際して慎重に選ぶ準備品」では、1位「ランドセル」、2位「学習机」、3位「防犯グッズ」だという。今回、児童福祉施設へランドセルを贈るという行為について、贈り主の思いを考えてみたところで推測の域を出ることはない。だが、このような調査結果を通してみると、贈り主は現状への理解がある程度あった上で行動を取っているのではないか。そうした見方をするとその心遣いもより強く感じられたりもする。

 ところで、以前HRIの機関誌「てら子屋vol.11」の発刊の際、取材先としてお世話になり、最近ではこれまでの奮闘記が一冊の書籍「子どもたちの放課後を救え!」(川上敬二郎著)にまとめられたとの便りももらった、「放課後NPOアフタースクール」というNPO団体がある。この団体は、子どもたちの放課後に豊かさを贈り届ける活動を進めている。
 彼らの活動は、今の子どもたちが置かれている放課後への危機感に動機付けられている。それは、子どもたちの「時間、空間、仲間」という3つの“間”、また「両親」「学校や塾の先生」以外の“第3の大人”との接点、という2つが失われているという指摘である。これらの問題を解決すべく、地域や企業などから市民先生として協力してもらえるような仕組みを作り、活動を力強く推進している姿がある。

 日本は欧米と比べると、寄附文化やNPO活動が脆弱かつ根付きづらいとの指摘を耳にする機会が多い。ただ、欧米では、芸術活動や社会活動などにおいて明確なテーマを打ち出すことにより、その主旨に賛同しやすくして、多くの寄附や協力を募ることに成功しているという。
 そう考えると、今回の取り上げたタイガーマスク運動やNPO活動が広がりを見せるというのは、まさに分かりやすく、賛同しやすい主旨が少なからずあるからに他ならない。学びにおいては、よく本質を理解することが大切であると言われている。それと同様に、人に寄附や協力などを惜しまずに実行へと移してもらうためには、それぞれの事象の本質が明確に、分かりやすく伝わることがその第一歩になるはずである。


○「小学一年生 子どものための安全防犯大百科」
http://family.shogakukan.co.jp/special/safety/
○「てら子屋Vol.11」 CASE STUDY
 放課後NPO「After School!!」-「市民先生」を発掘する放課後専門コーディネーター
http://www.hrnet.co.jp/publication/pdf/terra11_2b.pdf


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