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【コラム】閃きへのスイッチ&リレー
中間 真一

 最近、「閃き(ひらめき)」はありましたか?それは、どんなことでしたか?ふと、私の最近の閃きは何だっただろうと思い返してみると、情けないほどに思いあたらず、がっかりしてしまいます。子ども時代や若い頃、いや十年前でも、もっともっと閃きがあったように思うのですが、なぜなのでしょう。どうしようもない老化現象なのでしょうか?

 

 ところで、とあるスウェーデン人の本によると、「閃きやすい場所」というのは4Bで表されるそうです。みなさん、思い当たりますか?それは、バー(Bars)、バスルーム(Bathrooms)、バス(Busses)、ベッド(Beds)だそうです。いかがでしょう?さらに5番目まで入れるとしたら、退屈な会議(Boring meeting)だとも書いてありました。私の場合、バスを電車に変えれば、まさにそのとおりです。

 ちなみに、アインシュタインは「髭剃り中」によくアイディアが浮かんだそうですが、そのスウェーデン人は、機会あるごとに「閃きやすい場所」を尋ね続けてきた結果、いまだかつて誰からも聞かれない場所があります。さて、どこでしょう?答えは「会社にいる時」だそうです。大きな声では言えませんが、私も同感です(苦笑)。

 

 それにしても、「閃く」ということは素晴らしく人間的な営みだと思います。「閃」という漢字も、人が門をくぐるというような形です。勝手な解釈ではありますが、門をくぐって新たな思考の景色とつながることこそ、閃きなのではないかと思います。そこで気づくのですが、私も含めて、一般的に齢をとると、門をくぐって異界に出ることをためらうようになりますが、それこそが閃きを減退させているのではないでしょうか。

 そして、最近では子どもたちや若い人たちまで、最も効率よく学業や仕事上の目標達成を目指すために、囲われた門内の定められた最短コースのプログラム上で、ムダな学びをゼロとすべく学ぶことを是とするような風潮が広がっているようです。それが「理想的な学び」とされる時代であり、ビジネスマンのみならず大学生までもが日経に目を通すことで安心を得ているような状態なのです。純文学の小説などを読んで異界に触れようとすることなど大いなるムダ扱いなのです。これでは、「閃き」が乏しくなる一方です。会社の内だけでなく外まで「閃きが生まれない場所」になりつつあるわけですから。

 

 誰も「日本企業には、イノベーションが必要だ」という主張には異を唱えません。そのためには、「閃き」を生み出せる場と学びを取り戻さなくてはなりません。閃きを発火させるために門を開き、異界の回路につながるスイッチ、それを仕掛けるリレーの機能が大切です。そんな仕掛けとして、私はかねてから注目している素晴らしい学びの番組を挙げることができます。それは、NHKEテレの幼児教育番組「ピタゴラスイッチ」です。

 従来の教育番組は、「知識を伝える」ことを目的としていたのに対し、この番組の理念は、「考え方を伝える」ことです。番組中の「アルゴリズムこうしん」などは、じつにその理念を子ども向けに実現していると思います。私は、「こんな番組で幼少時代を過ごしたかった!」と思います。まだ、みたことのない方は、騙されたと思ってぜひ一度見てみてください。

 このように「考え方を伝える」ことによって、伝えられた側には「それまで、自分の中で繋がっていなかったことが繋がる」という変化が生まれるはずです。すなわち、異界との繋がりを生むためのスイッチなのです。そして、新たな繋がりは、さらなる好奇心というセンサー感度(感受性)の向上につながります。新しいつながりのスイッチ、これからの時代の学びのコンセプトとして、きわめて大切なことではないでしょうか。

 


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