COLUMN

2022.09.20田口 智博

未来予測理論と掛け合わせて考える

 8月下旬、『2050年の家族から「未来」を考える』と題して、大阪と東京の2ヵ所でワークショップを開催しました。コロナ禍に突入してから何度かリアルな場づくりを模索してきましたが、この度、ようやく実施へと漕ぎ着けることができました。また何よりも、安全・安心な環境づくりに細心の注意を払い、無事終えられたことに今は安堵しています。

 そんな今回は、未来を担っていく世代23名の参加者と一緒に場をつくることができました。みなさん口を揃えて話してくださったのは、「コロナ禍になって以降、リアルなワークショップに出向くのは初めて」という言葉でした。やはりここ2年半くらいの間で、リモートによる画面越しでの人とのやり取りが主流となりつつある確かな変化が伝わってきました。
 一方で、ワークショップを終えた際、参加者の方々からは、「人はリアルで会わないとなぁとあらためて実感した」といった声が多く聞かれました。コロナ禍以前では当たり前であったリアルの価値について再認識できる、そんな機会にもなったことを強く感じました。

 ところで、ワークショップの内容はというと、未来の社会を考えていくにあたり、参加者が自分事として考えていくにはどういうテーマが望ましいか。そんな思いのもと企画づくりを進め、社会を構成する最小単位ともいわれる「家族」を通して、これからの社会のイメージを高めていくことに今回はチャレンジをしました。

 なかでも、自由大学でネオ・ファミリースタイル学キュレーターを務め、多様な家族のあり方の調査研究を行う海野千尋さんと、企画づくりからワークショップ開催までを一緒に進められたことが大きな相乗効果を生みました。
 それは、「家族」と未来予測理論である「SINIC理論」を掛け合わせによって、これからの到来する自律社会、自然社会について、家族を通してみえてくる未来社会像をグループごとのワークとして考えていくプログラム作成に至ったからです。
 ちょうど海野さんが指摘される家族のあり方として、今後、個人の中のこう在りたいという“Will”が、家族との関係性の中で重なりをもつ必要が高まってくるのではないか。それにより、個人や家族の“自律”ということにつながり、科学や技術の進化と相まって、SINIC理論が示すこの先に広がる自律社会が現実味を帯びてくるのではないか。こんなことを出発点に、未来の家族の担い手になりうる、ミレニアル・Z世代の参加者との未来談義を重ねていく時間を持つことができました。
※ワークショップの模様の詳細は、SINIC.media( https://sinic.media/ )への掲載(10月上旬)を予定しています。

 身近なテーマと未来予測理論を掛け合わせて、未来を具体的にイメージできるようになる。未来社会をどのように描いていけるのか?というお題に対して、今回の取り組みは、その一つのアプローチになるに違いありません。
 もしあなた自身であれば、どんなテーマと未来予測理論を掛け合わせて未来を考えてみたくなるでしょうか?そんなところから周囲とシェアができると、未来への共創の第一歩につながっていくはずです。
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