COLUMN

2002.10.25中間 真一

中年の自覚

 HRIでは、今月に入ってWebによるアンケート調査により、「ミドル世代の生き方」をテーマに、現状の暮らしや将来への考え方を、30代後半と40代の男女に尋ねた。900名の回答を得て、つい先日回収を終えたところだ。まだ、結果を集計しきれていないが、調査直後のホット・イシューとして、ごく一部の結果だけを紹介したい。

 「中年」、あるいは「ミドル」と言えば、ふつう40~50代を想定するのが普通かもしれない。しかし、あえて今回の調査では30代後半と40代を対象として(じつは、比較のために50代前半団塊世代にも同じ内容で100名の回答を得ている)、仕事生活、家庭生活など、人生における微妙な中間地点での居心地を問うてみた。かく言う私も、この「中年ドまん中」に該当するわけで、この質問に答えてくれる相手の気持ちを想像しつつ、胸にグッとこみ上げてくるものを感じながら質問票を作った。質問票に回答してもらった同世代の友人や知り合い達の中には、「まじめに答えているうちに、涙が出てきたぜ!」、「こんなに大量の質問に答える暇なんかネーよ、と思いつつ、お前との付き合いだと思ってプツン、プツンとクリックしてたら、俺ってよく頑張ってるなあとほめてやりたくなった」とメールをよこした同士もいた。

 読者のみなさんは、この30代後半と40代の人たちが、「あなたは、自分がミドルや中年であるという自覚がありますか?」という質問に対して、どのくらい「ある」と答えたと想像するだろうか。現段階でわかる全体比率で言うと「45.3%」だった。約半数が「中年」の自分を自覚していたわけだ。もうひとつ、今回の質問の中に「人生を日の出から日の入りまでの太陽の動きになぞらえるならば、あなたは現在どのあたりにいると思いますか?」という絵入りの質問を設けた。「中年だから正午だろう」とか、「いやいや、疲れたサラリーマンは、すでに太陽(自分の人生)は西に傾いているだろう」と、スタッフ内でも意見は分かれた。さて、その結果やいかに・・・

 結果は、約半数が「正午を過ぎてしまった午後」をプツンとクリックしていた。ちなみに、「正午」は約20%、「午前中」も約20%という結果だ。「夕方」族も10%いる。もちろん、これから年齢区分別や男女別、職業別に分析すると、いろいろな特徴がわかってくると思う。しかし、30代後半と40代というプライム・タイムという意味合いもこめたつもりの「中年」の6割は、もはや「人生の南中」を過ぎたと感じていたのだ。私も午後組の一人でありながら、結果には驚いた。

 いま、日本の社会は明らかに大きな変革の時代に入った。その巨大な変革のてっぺんの波頭で、かっこよく波乗りをするヒーロー、ヒロインではなく、大波から懸命に岸へと逃げる一群として、私たち中核世代としての今回の「中年」は、まとめられてしまうのだろうか。それはちょっと寂しい。なんてったって、若い頃はサーファー・ファッションで一世風靡した世代でもあるのだから。いや、ほとんどは「陸サーファー」だったことが、今になって露呈してしまったのかもしれない。詳細はこれからだが、ざっと結果を見ていると、柔らかい個人主義者が、現実の歪みと折り合いをつけて、我慢と不安を抱えつつ、幸せ家族を生きる姿が、調査結果から浮かび上がってきた。

(中間 真一)
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