所長の独白

2020.10.29

Exponentialという希望と不安

 世界中が不安の渦に呑み込まれる中で、この人のポジティブな未来展望は変わらないどころか、それこそ指数関数的に増大している。シンギュラリティ大学共同創設者で、XPRIZE財団創設者、Futuristのピーター・ディアマンデス氏だ。
https://www.youtube.com/watch?v=NwNaWsQnP3A&feature=emb_logo
それまで、物理学の用語として聞いたことがある程度だった「シンギュラリティ」という言葉を、高度な技術が人間を凌駕していく未来の姿として世界中に発信したレイ・カーツワイル氏と共に活動を続けているオピニオンリーダーだ。

 年に一度のシンギュラリティ大学グローバルサミットのカンファレンスを通じて、彼の未来論のアップデートを私はフォローしてきた。彼の主張の中核は、とにかく”Exponential”(指数関数的発展)だ。先行き不透明VUCAの時代にあっても、「みんな、戸惑って立ち止まっていてはだめだ!」と繰り返す。最近は、2045年としていたシンギュラリティの到来が前倒しになるぞと促す。

 今朝、彼が発信するメールマガジンを久しぶりに読んでみた。すると、これまた久しぶりに彼の持論”The Six Ds of Exponentials”(指数的変化ステップの6つのD)が述べられていた。その6つのDは以下のとおり。
Digitized(離散的数値化された技術が基本になる)
Deceptive(ここでは「認識できない」とか「潜行的な」という意味)
Disruptive(既存のやり方に対して破壊的)
Demonetize(これまで成長一辺倒だったようには、お金や収益にはならない)
Dematerialize(非物質化)
Democratize(民主化、誰にでも技術の恩恵が行き渡る)
これら6つのD、私が数年前とは違うインパクトを受けたのは、”Deceptive”だ。5年前は、何(What)が出てくるのか楽しみな潜行だったのに対し、今はいつ(When)、どこから(Where)、急激な変化が顕れるのかがとても気になる。

 そのくらい、この数年間で何(What)がこれから出てくるのかは想定できるほど、様々な兆しが見えてきた。それが、新しい社会の市場として、いつ、どこに生まれるのか?この読みがビジネスのキモになってきている。Exponentialなので、その読み違い、特に「出遅れ」は致命傷になるはずだ。

 しかし、どうだろう。世界トップの高齢社会日本は、彼らの過去の成功にしがみつき、現在の混乱の応急処置に拘泥し過ぎていないだろうか。未来は、潜行的に進み、指数爆発の機を計っている。それは、シニア世代からでなく、ミレニアル世代やZ世代の価値観と行動、そして工業社会の時代の成功を味わえなかった新興国のパワーによって一気に浮上するのだろう。さあ、未来に目を向けよう。さあ、未来を引き寄せよう。さあ、未来ある人たちを支えよう。老体に鞭打ってそう思うこの頃だ。

 それから、いつもExponential(爆発的増大)という言葉を聞くたびに、Spiral(螺旋的上昇)という言葉が私の頭の中に浮かび上がる。この両者について、近いうちに文章に表してみたい。
ヒューマンルネッサンス研究所
所長 中間 真一
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